鉄入りサプリは危険?
更新日:2022年10月16日
「子供に鉄入りのサプリは絶対に与えないで」という記事をみた、1歳10か月のお子さんをもつメンバーさんから、「どう思いますか」との質問がきました。
よい機会なので、『やさしい分子栄養学 2』から一文を紹介させていただきます。
結論からいうと、鉄の種類による、ということです。
■鉄は活性酸素の発生源になりやすい
鉄をはじめ、すべての金属は酸素と反応しやすいため、活性酸素の発生源になりやすいという特性をもちます。
薬剤として処方される鉄剤や、多くのサプリメントの原料として使用されている無機鉄(何にも覆われていない素のままの鉄)は、多量に摂ると活性酸素の発生を引き起こします。
貧血と診断されると鉄剤が処方されますが、それを服用すると胃の不快感が現れるのは、無機鉄の多量摂取による酸化ストレスが影響していると考えられます。
活性酸素の発生を抑えながら鉄を補給するには、 有機鉄として補給する方法があります。
有機鉄の一つがヘム鉄です。 ヘム鉄とは、ポルフィリンという有機物に結合した安定性の高い鉄のことで、無機鉄と比べ活性酸素の発生源になりにくいという特性をもちます。また、ヘム鉄は小腸に特別な専用吸収経路をもつため、 非常に吸収率が高いとい特長があります。
もう一つの有機鉄としてイースト鉄があげられます。 イースト鉄とは、鉄を豊富に含む液体の中で培養させたイースト菌 (ビール酵母、パン酵母等)を磨り潰し、抽出・乾燥させたものです。
ヘム鉄と異なり、イースト鉄は亜鉛や銅など、他のミネラルと共通の経路から吸収されます。
したがって、ヘム鉄とイースト鉄を組みわせることにより、 2つの経路を利用して、鉄をより安全に、より効率よく補給することができます。
(株式会社分子栄養学研究所:やさしい分子栄養学 2、ー慢性疲労の影でくすぶる酸化と炎症ー、2022、p.26より)