里津子 中山
命の入り口、心の出口
な~んだ? 答えは「口」です。
「口は命の入り口、心の出口」 この言葉は、佐世保市在住の歯科医師、伊藤正彦先生によるものです。歯科医師になられ口と食の大切さを感じるなかで、いつとはなしに生まれた言葉だそうです。
「私たちの体は食べた物でできている」まさにそのとおりですね。
口から取り込んだ食べ物は、消化酵素(材料はタンパク質)によって小さく分解され(消化)、栄養素となって小腸から取り込まれ(吸収)、必要とする組織に届けられ、命を構成する材料となります。
ご飯、麺、パンなどに含まれるデンプン(炭水化物)の最初の消化は口で行われます。よく噛むことで唾液に含まれるアミラーゼ(酵素)によって分解されます。分解しきれなかったデンプンは、胃を通過したあと、膵臓から分泌される膵液によってさらに分解されます。
※唾液には、デンプンの消化だけでなく、①口の中の汚れを洗い流す。②口の中を中性に保つ。③歯を修復し、強くする。④殺菌・抗ウイルス作用などがあります。
※よく噛むことで、食後、血糖値の急上昇を抑える効果もあります。
タンパク質は胃で分解され、胃から十二指腸に送られると、さらに分解されます。十二指腸から小腸へ送られるとアミノ酸にまで分解され、吸収されます。
脂質は、胆汁(胆嚢)や膵液(膵臓)によって分解しやすい状態になり、小腸で分解・吸収されます。
つまり、よく噛める歯が大事だということです。
■乳歯は母親の栄養から!
永久歯は子ども本人の栄養から!
乳歯の芽は、母親の胎内にいる7週~10週ころに形成されます。
妊娠3か月半ころになると永久歯の芽の形成が始まります。
生後6か月~8か月にかけて下顎の前歯が生え始め、3歳ころには20本の乳歯が生えそろいます。
6歳前後になると最初の永久歯が生え始め、乳歯が抜けて永久歯に生え替わり、9歳~12歳くらいにかけて、永久歯が生えそろいます。
20歳ころになると親知らずが生える人もいます。
歯がきちんと並ぶためには、口の周りにある筋肉の働きも大事です。